文化庁小委員会の報告書案の最終的な文言調整は、主査預かりになりました。今期はもう小委員会は開催されず、2月13日の親委員会での報告に向けて、主査、事務局、委員のあいだで水面下の調整が続くようです。

注目点は、違法要件の限定が本当に付くのか、どのような限定になるのか、それが刑事だけではなく民事にも付くのかに、ほぼ絞られてきたといえます。慎重審議を求める者としては、残念なことです。

報告書が親委員会で承認されたら、文化庁が法案作成に入ります。内閣法制局とのやり取りにより、文化庁の思ったような法案にならないこともあります。過去にはいわゆる「日本版フェアユース」(の成れの果て)のときに、そういうことがありました(『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』第2章)。なお、このプロセスは、ほぼブラックボックスです。

法案は来週からはじまる通常国会で審議されることになりそうです。法案が与党のお気に召さなければ、議員立法やら議員修正といったことも起こりえます。音楽と動画の違法ダウンロードを刑事罰化したときに、こうした手法がとられました(『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』第3章)。もっとも、与党審査を通らない法案は、閣議決定されないと思いますが。

被害が大きい海賊版への対策が必要なのは誰にも反対のないところですが、この改正がどれだけ有効なのか、市民生活への影響などマイナス面を最小にするにはどうすればよいのか、声を上げ続けることがとても大事だと思います。