本日の法制・基本問題小委員会で、違法ダウンロードの拡大は避けられなくなったのだが、パブコメや慎重派委員の意見が本文に反映された重要な部分もあるので、そこを紹介しておきたい。

パブコメにかかった案では、違法化を限定する選択肢として、
(ア)民事においても有償で提供・提示される著作物に限定する
(イ)いわゆる海賊版サイトからのダウンロードに限定する
(ウ)「原作のまま」ダウンロードを行う場合やデッドコピーの場合に限定する
(エ)「権利者の利益を不当に害しない場合」を違法化の対象から除外する
があって、それらに対して「課題」をあげるという名目で反駁を加える体裁だった。

今日出された修正案では、それに
(オ)TPP整備法における非親告罪化の対象範囲に準じた限定を行う
(カ)反復継続して行う場合に限定する
が加えられた。

やはり「課題」と称してすべてに反駁する姿勢は変わらないのだが、大きな違いはつぎの文章を含む一節が本文(下記リンク先に置いた「報告書」(案)p.78)に書き加えられたことにある。

このため、法整備にあたっては、上記(ア)〜(カ)の選択肢もあることを前提に、そのユーザー保護の効果や課題も踏まえつつ、最適な対象範囲の設定を行うことが適当であると考えられる。

本日出席の委員の多くから出た慎重論も踏まえて、文化庁が違法化になんらかの限定を付けて条文を書くことは、だいたいまちがいないだろうと思う。

それにしても、慎重論のほとんどを「〜といった意見もある」調で書いたり、脚注に落としたりしていて、事務局が明確に違法化を大前提に動かそうとしていることは、明白に読み取れる。

「報告書」(案)を含む当日配付資料はこちら