ブルーレイのディスクレコーダーに新たに私的録音録画補償金を課すことについて、パブコメ(9/21締切)が募られている。(報道はこちら

この問題がくすぶりつづけていたことは知っていたが、表だって検討された気配がなく、いきなりのパブコメには唐突感が拭えない。

これまでの経緯や問題点については、StereoSoundONLINE掲載の麻倉怜士氏へのインタビュー記事によくまとめられているので、まずはこちらを読んでほしい

補償金課金案に対するJEITAの見解はこちら

筆者がとりわけ問題と思うのは、エアチェックしたテレビ放送のダビングを10回までに制限するいわゆる「ダビング10」や、リッピングソフトの違法化などで私的な範囲を超えた使用を技術的・法的に制限しておきながら、そのうえ補償金もというのではユーザーに与える不利益が多重になることだ。

補償金対象機器を追加することについては、今年6月の文化審議会著作権分科会で著作権課長からつぎのような発言があった

先ほど渡辺委員から御指摘がございましたように、今年度の知的財産推進計画2022におきましても、私的録音録画補償金につきましては、対象機器の特定について、関係省庁の検討の結論を得て、可能な限り早期ミッションの措置を講ずるというふうにされております。これは計画の記載自体は若干変わっているわけでございますが、数年前からほぼ同じような記述がされているわけでございますけれども、文化庁といたしましても、この対象機器の特定について関係省庁と議論を積み重ねてきておりまして、検討の結論を今回踏まえるという形の記載になっておりますので、我々としてはできるだけ速やかに検討の結論を公表した上で、早期に必要な措置が講じられるような努力をしているというような状況でございます。ちょっと詳細につきましては、大変申し訳ございません、まだ調整中の部分がございますので、この場では差し控えさせていただきますけれども、我々としては、関係省庁と、あるいは関係団体と協議を重ねながら、早期の措置の実現ということにつきまして、引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。

2020年の知的財産推進計画に記載されていたものの、今年6月の時点でまだ関係省庁と調整中で、今回のパブコメが出る8月までのあいだに著作権分科会や小委員会で審議された形跡はない。つまり、ブルーレイに補償金を課すための著作権法施行令改正案は、ほぼ水面下で策定されたようにみえる

種々の問題含みの私的録音録画補償金をさらに拡大しようというのに、このやり方はいただけない。麻倉氏のいうように、元JASRAC理事の都倉俊一氏が文化庁長官になったことが影響したとまでは思いたくないが、そういう憶測が出てもしかたないような運び方だ。

関心のある方は、9月21日までのパブコメに意見を送るとよい