いま行われている、「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」が結論誘導的だとか、いろいろ批判が起きているが、評価できる部分もある。

これは新しい著作権制限ではないか?と思われることを、文化庁が「許容される」と整理しているのだ。

それは、「引用のための複製」とでもいうべき著作権制限だ。

今回のパブコメのために文化庁が新たに作ったこの資料の12頁をみてみよう。

(問7) 違法なアップロードからの複製が禁止されることで、論文への引用等のための利用も困難となるのではないか。
(答) (中略)なお、権利制限規定については、一般的に、直接の利用場面のみならず、その前段階における準備行為としての複製(引用であれば、引用が想定される資料の収集)についても、必要かつ合理的と認められる限度であれば許容されるものです。このため、例えば、著作権を侵害するコンテンツがインターネット上にアップロードされている場合に、それを一旦ダウンロードした上で、その問題点を指摘する論文等に当該コンテンツの一部を引用することは許容され得るものと考えられます。

なんと、引用が目的であれば、必要かつ合理的な範囲で複製が許容され、それは違法コンテンツのダウンロードでも同様だというのだ。

研究者として引用を日常的に行っている身としては、とてもありがたいことだ。これを文化庁見解に留めず、ぜひ「引用のための複製」を創設する法改正をしていただきたい。