2018年12月30日は、日本の著作権法の歴史に刻まれる日になる。一般的な著作物の保護期間が、今日から著作者の死後70年になったのだ。

文化庁の「正史」では、TPP11参加のために延長したと誤解させる書きぶりをしている。だが、経緯を目撃したわたしたちには、歴史を正しく伝える義務がある。TPP11に参加するのに著作権を延ばす義務はなかった。それなのに、国内での10年もまえからの深い議論の結果をまったく無視して、政府は延長した。わたしはこれを「どさくさまぎれ延長」と呼びたい。

権利者不明作品の増加、アーカイビングの停滞など、延長のマイナス面を減らす手立てをほとんどとらず、延長とバーターだと報道された戦時加算の撤廃には誰も手をつけず、これを怠慢といわずして何というのだろう。

いままた、漫画海賊版サイト騒動のどさくさにまぎれて、ダウンロード違法化・刑事罰化の範囲を大きく広げようという案が検討されている。たぶん、それに対して効果をもちうる形で国民が意見をいえる機会は、来年1月6日までしかないだろう。下記のエントリーを読んでほしい。

包括的ダウンロード刑事罰化がはじまろうとしている

包括的ダウンロード刑事罰化(1):「主観要件」の危うさ

包括的ダウンロード刑事罰化(2):ユーザーの懸念は出てこなかった?

包括的ダウンロード刑事罰化(3):それでも絵師修業はできますか?

包括的ダウンロード刑事罰化(4):調査・研究・批評が後退する

包括的ダウンロード刑事罰化(5):何が決定的に欠けているのか

包括的ダウンロード刑事罰化(6):パブコメ作成のポイント