西洋における禅ブームの立役者であり、 日本文化理解の礎を作った鈴木大拙。その生誕150年を迎えるいま、鈴木大拙研究に新たな展開をもたらす。 欧米・日本の大家から新鋭まで15名の論者が最新の研究成果を披露し、神秘主義や浄土真宗、動物愛護運動や軍国主義などの観点から、鈴木大拙の知られざる側面を論じた。 彼の活動、思想を総体として捉えることで、「禅の伝道者」としての従来イメージを超え「今までにない大拙像」へと挑戦する。

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山田奨治、ジョン・ブリーン編『鈴木大拙 禅を超えて』(思文閣出版、2020年)

目次

序論 生誕150年 いま読み直す大拙

大拙をどう読むか?—〈人〉の思想を中心に(末木文美士)、鈴木大拙を新たに読む直すために(安藤礼二)

第1部 世紀の転換期の大拙

ポスト汎神論から超物質主義ヘ—鈴木大拙と新仏教(ジェイムズ・ マーク・シールズ/栗田英彦訳)、鈴木大拙が企てる大乗版プロテスタント仏教—「真の宗教」としての『大乗仏教概論』(マーク・L・ブラム/金子奈央訳)

第2部 戦間期の大拙(1)

両大戦間の日本における英文出版物に対する鈴木夫妻の寄与(ジュディス・スノドグラス/金子奈央訳)、鈴木大拙はナチス支持者だったか?(ブライアン・A・ビクトリア/金子奈央訳)、鈴木大拙と動物愛護(ジェームズ・ドビンズ/山田奨治訳)

第3部 戦間期の大拙(2)

鈴木大拙と二人のクレイン—アメリカ人慈善家と鈴木のグローバルな計画(リチャード・ ジャフィ/守屋友江訳)、越境する霊性—鈴木大拙の禅のテクスト性(ロマン・ローゼンバウム/栗田英彦訳)、〔コラム1〕鈴木大拙と神道—批判の構造(ジョン・ブリーン)

第4部 戦後の大拙

鈴木大拙による「日本的霊性」と仏教の戦争責任への問い—占領期日本のもうひとつの歴史(一九四五~一九五二)(アリス・フリーマン/山田奨治訳)、鈴木大拙の盪感論—文化を越えた伝達に挑む (ロイ・スターズ/栗田英彦訳)、ウィンスロップ・サージェント「グレート・シンプリシティー—鈴木大拙博士のプロフィール—」紹介と翻訳(岩本明美)、鈴木大拙の文学的影響—欧米の禅生活体験記におけるユートピアの語り(ベン・ヴァン・オーバーマイアー/栗田英彦訳)、〔コラム2〕アメリカ大衆文化への鈴木大拙の影響(山田奨治)